INTERVIEW
soutienステンシリーズ共同開発事業者
株式会社かがやき 代表取締役 藤村純矢さまインタビュー

かがやき藤村様インタビュー
―まず、日常の事務所の業務を簡単にご説明をお願いします。

うちは訪問看護ステーションということでご自宅のほうに訪問をして看護のサービスであったり、リハビリのサービスを提供させていただいております。その中でバッグは必須で持っていってます。そのバッグの中に訪問に必要なケアの物品等々を含めて持参をしてサービスを提供して安全に帰ってくるというのがひとつの仕事の流れです。

(ここ10年くらいで)訪問看護は一般的に周知もされてきたと思います。 看護というのは病院でいうところの看護師さんが家に来てくれるので家にいながら(病院と全く同じとまでは言えませんが)看護・リハビリというサービスを自宅で受けていただけるサービスです。

―その日常の業務の中で、普段は看護に出られるのはどのような装備・持ち物ですか。

荷物の中身ということで大枠でいくとバイタルセットがひとつです。血圧計・パルスオキシメーター、聴診器、体温計等を収納しており、あとは衛生物品のアルコール、アルコール綿、ペーパータオル、それらを収めるビニール袋、あとは訪問記録を付けるためにアイパッドを持参です。

あとアイパッドだけではなく筆談が必要なかたもいらっしゃるのでメモや紙の記録媒体も持って行ってます。

あとはケア用品(看護師さん)、爪切りややすり、ペンライト、ニッパー等、重量があって大変ですが連絡用のスマホ・携帯(会社から貸与のものがひとつ、緊急用がひとつ、あとはプライベート用)等で3つのスマホを持つ人もいます。あとは自分のお財布など。集金時にはおつりが必要なのでおつり入れも持って行く人もいます。ごくまれにイレギュラーな場合で預かり鍵も持って行きます。

荷物としてはかなり量が多いです。その荷物を収納できるスペースと整理ができる機能が欲しかったです。

―訪問看護・介護業界において要望されるバッグとは?
藤村様

荷物に関しては多岐にわたり、要求性能(要求される性能)は厳しいと思います。まず、外に出ることに関して防水性能は必要だと思います。訪問あるあるですが、外に出た時に多少の雨だと鞄にビニールをかぶせたり、雨カバーを付けるのがおっくうなのでバッグ自体が防水性能があれば多少の雨であればその作業がなくなるので防水機能はできれば欲しいです。 あと、必要物品がすぐに取り出せる整理整頓機能は欲しいです。

バイタルセット、衛生物品、ケア用品などの項目ごとの収納。まず訪問時にバイタルセットは訪問時にすぐに取り出すのですが、それが例えばバッグインバッグ等で整理できていれば必要物品がすぐに取り出せるのでその機能は欲しいです。 あと、荷物が多いのと中身がかさむのでできるだけ鞄自体は重さが軽い方がいいです。 それに関して言えば鞄には堅牢さや頑丈さは要求性能としてはあるのではないでしょうか。 物品が入ってる状態で、自転車のカゴにバッグの出し入れを1日6件、7件すると鞄の擦り切れ、変形、等が出てくるので鞄自体に頑丈さ、堅牢さは求められるものと考えてます。要求性能が高いものだと思います。

―今回の鞄を使っていただくことで仕事は改善されましたでしょうか?

今回、試作で商品が出来ていく中で製品が仕上がっていけば間違いなく効率はあがると思います。要求性能が高いので今、この条件を満たす商品は世の中にあまりないのが現状です。 その中でたくさんの人にこれを使ってもらえれば仕事に関しては効率はあがると思います。

―この業界に特化したバッグ作りをさせてもらっておりますが、従来の市販バッグと今回のバッグの違いはどうでしょうか。今回の開発バッグを使ってお仕事に変化はありましたか?

今までの会社の方でスタッフに支給していたものは訪問看護の要求性能を全部満たすものはありませんでした。価格、すぐに手に入るということで今まで購入してましたがそれらは極端なはなし、ネット通販しか手段がありませんでした。 普段は実物を見ての購入は10数年やってきてますが一切なかった。実物を見ずに買ってきてました。

なので要求性能に関してはそれを満たしているのかどうか買うまではわからず、そして買ってみて、実際ステーションで使ってみて思うのは先ほど言った要求性能を満たしたものは今まで無かった。今回、携わってみていていいものができてきていることに関しては自信を持ってきています。

―実際スタッフさんからの声はどうでしょうか?

実際使ってみてどうかというと、僕も使ってますが僕の荷物は先ほどお話したもの以外にプラスアルファありますが、全て入りました。僕だけではなかったですが、バッグインバッグがスタッフにも好評でした。訪問時にはじめに利用者さんとお話するときにバイタルセットをパッと取り出せるのと整理ができているのでどこに血圧計や体温計が入ってるのか凄くわかりやすいので利用者さんに「ええカバン持ってるな」と言われることも。スタッフが実際使った感想もポジティブな話を聞いています。

―1年以上の時間をかけて一緒に開発させてもらってますが、開発の中で裏話等はありますか(開発秘話)

1年以上の共同開発に携わってきていろんな方々にも見てもらいましたし、その都度試作品も作っていただきましたし、アンケートで変更・改良も加えていただきました。 ただ、当初の要求性能が非常に高いのと機能性を主眼においたので必要な機能を山ほど付けてかなり欲張ってしまい鞄が重く、大きくなってしまったことがありました。 以降改善を積み重ねてやっと商品が誕生する、商品化できるというのは非常に感慨深いです。

あと、価格面ではちょっと厳しいのかな、という感想です。 全員が全員ではないと思いますが、鞄はある程度の金額の物をある程度使ったら使い捨て、という流れはあるのではないでしょうか。 逆にそれは要求性能が満たされて長持ちするものが現れればもしかしたらそういう意識の変化も出てくるのではないでしょうか。 良いものを使っていってほしいなということ、今後この商品が世に出て行ったときには見ていただいて、使ってもらえれば必ず物の良さは感じていただける品物にはなったのではないでしょうか。

―今回インクルーシブデザインを取り入れて「世の中の不便を便利にしよう」、いろいろな業種のなかでそれぞれ不便に感じているアイテムを用いて便利になっていくことが目標で、それが今回訪問看護・介護業界で、少しでも事業に関わる方に便利を感じてもらうというコンセプトで今回開発しました。今後、カバン造りを通して看護業界で今後何か要望はありますか?

さきほどもありましたが、価格の件です。価格を下げるというのは今は原材料も高騰で、(価格を下げるためには)品質を下げることになってしまいますが世の中はコスパ重視になっております。ですのでバッグ製造業者さんに求めるのはより良い品質でよりよい価格。それは適正な価格で。そこを提供し続けていってもらうように努力していただけたら、それがひいては安定供給につながるのではないでしょうか。 。

―価格に関してはメーカーとしては耳が痛いですが良いものが少しでも安価にできるように努めます。
―今回、エデリアンというブランド名なのですが、これはフランス語で造語なのですがモノづくりを通じて人と人のつながり、絆を大事にするという意味でブランドイメージとして未来を照らしたいという想いもこめています。鞄というのは当然物も入れますが同時に人の想いも持ち運ぶという風にモノ作りの時に常々思っています。実際に使っていただいた皆さんの意見を聞かせてください。

訪問先で「いいね」と言われたり、実際使ってみて「こういうところが良かった」と聞いたりもあります。モノ作りということと訪問看護(人的サービス)がマッチして、合致していて、エデリアンとはいい言葉だなと思います。