STORY
訪問看護・介護専用サポートバッグ
(Soutienステンシリーズ)ができるまで
ワコーバッグ株式会社
代表取締役 和田光平

きっかけとなった母の訪問看護と、かがやきの藤村社長との出会い~そして大阪府の新事業展開テイクオフ支援事業としての認定へ
かばん製造会社として創業70年以上の年月が経ち、より今の時代にあった使いやすいかばんができないかと思案していました。しかしながら、日常業務に追われその思いも先延ばしになりつつありました。
そんなある日、私が指の骨折をしたことで普段使っているかばんが使いにくいものになってしまいました。
今の自分に合うかばんを市場で探してもなかなか合うものが見つからず、このことをきっかけにインクルーシブデザインという言葉を知り、かばん製造会社として困っている方の何かお役に立ちたいという想いが強くなっていきました。
しばらくして私の母が訪問看護を受けることになり、株式会社かがやき訪問看護ステーション 代表の藤村様(以下、かがやきの藤村社長)と出会いお世話になる中、普段お使いの業務かばんについてお話をお聞きする機会がありました。 看護師さんやケアマネージャーさん達は持ち物も多く、業務の内容によって持ち物も違うので、それぞれが思う使いやすそうな市販のかばんを使われていました。 彼らはサポートを必要とされる患者さまに寄り添われることを優先されるので、自分たちが使うかばんのことは後回しにされ、とにかく必要なモノを運ぶことだけを考えておられました。 ですがお使いのかばんは業務をする上で不便なところや不備なところがあるというご意見を伺い”それなら使いやすいものを作ってみよう!”と思い立ちました。 かがやきの藤村社長もかばんのことをお話しているうちにとてもご関心を持たれ”一緒に便利なかばんを作りましょう!”とご協力を得ることになりました。
この取り組みが大阪府の新事業展開テイクオフ支援事業としての認定を受け、本格的に開発をスタートさせました。

訪問看護従事者の皆さんとの試行錯誤の日々
一般のかばんとは違い”訪問看護の専門的職業従事者が使いやすいもの”ということですから、 超多忙な訪問看護従事者のご意見をたくさん集めることは容易ではありませんでした。 作業に適したサイズやポケットの配置、持ち運び時の利便性など様々な課題が出てきましたが、まずは基本となる型を試作し、それを事業所で試していただきました。 試用後のアンケートでは”市販品よりは良いが、細部がまだ満足できるものではない”と厳しいご意見をいただき、どのようにかばんに表せるか思案していたころ、かがやきの藤村社長より新たに開発にご協力いただける株式会社リアルエイド 代表の石田様をご紹介いただき、 より多くのご意見を頂戴し、2回目の試作へと進んでいくことになりました。 そして2回目の試作ができ上がり、かなり改善したものを2つの事業所でスタッフの方々に実際にご試用いただきましたが、訪問看護従事者も十人十色”あちらを立てればこちらが立たず”となかなか満足いただけるような仕様にならず困ることも多々ありました。 さらにご意見いただいた内容をいかに改良して満足したものになるのかを各事業所の皆様、企画者、生産者などの力を結集し知恵と経験を活かし3回目の試作と試用により今回のカバンが生まれました。
永年の経験から構築したノウハウを駆使して試作したかばんに対して毎回十分な試用期間とアンケートも実施し、企画から試作と試用を2年近い時間繰り返しながら一緒に進めてきました。訪問して業務に携わられる環境で”いかに使いやすくスマートにご使用いただけるか”「現場の声」を活かした カバンになります。

3度のサンプル作成、ヒアリング、改善を繰り返し完成したバッグを創業70年以上の鞄メーカーの熟練職人がお届けします。
一般市販品と違い量産ではなく特注で生産していますので価格面でどうしても割高になってしまいますが、生産メーカーは創業70年以上の工場で熟練した職人が生産しておりますので安心してご使用いただけます。その分もし何か不都合があれば修理などのサポートも対応できますので安心してご使用いただけます。 時間は掛かりましたが訪問看護事業者の皆さまのご協力のもと、ようやく多くの訪問看護従事者に合格点をいただける業務カバンが完成しました。
訪問看護従事者の「推し」をいただけたことから「推しカバン」という肩書きをつけました。きっと、訪問看護・介護などに携われている人たちのお役に立てると思います。 ぜひ一度手に取ってご使用いただければモノづくりをしている企業として幸甚なことです。 今後も”誰かのために耳を傾け寄り添ったモノづくり”をし続けます。